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2024/02/26 20:11

こんにちは、MAH+(まぁ)です。
「Nacori Lucori のチモシーにしたら、すごく食いつきがよくてびっくりしています」というお声をたくさんいただきます。このような感想をお知らせいただけることが本当にうれしくて、ご購入先のうさちゃんがまるで自分たちの家族みたいに思えてくるねと、なないろちゃんとよく話しています😚
さて、本日は、私たちが取り扱う牧草と、その取り扱い方について、またNacori Lucori の牧草に込めた思いを綴ろうと思います。
全3話でお届けしますので、よければ最後までお付き合いください。
今回は 第1話「特別な贈り物:エレンズバーグのチモシー」です。
草原の息吹
エレンズバーグのキティタス渓谷には、広大な草原が広がっています。ここでは風と太陽の恵みによって、様々な草や植物が茂りますが、その中でも特に目を引くのがチモシーです。チモシーは、その青々とした緑色と豊かな香りで知られ、地元の農家たちにとって重要な収入源です。

主人公であるチモシーは、この草原の一部でありながら、同じ場所で暮らす仲間たちとともに季節の移り変わりを感じています。草原にはチモシーの他にもさまざまな草や植物が生えており、それぞれが自然の一部として共存しています。また、草原には小さな虫や鳥、そして時には小動物たちも生息しており、彼らもまた草原の生態系の一部として重要な役割を果たしています。
チモシーたちの生活は決して安穏としたものではありません。時には天候の急変や病気に見舞われ、草原の命の営みは厳しい試練に直面します。農家たちは丹精込めて草地を管理し、草原の生態系がバランスよく保たれるよう努めています。ここで生きる全ての生物たちが、草原の一部として自然と共に生きる喜びを分かち合っています。
夏は暖かく乾燥した気候のキティタス渓谷
農家の愛情
キティタス渓谷に住む農家たちは、チモシーを育てることに情熱を注いでいます。彼らは草原を管理し、天候の変化や自然の営みと共に生活しながら、最高品質のチモシーを生産するために努力しています。
農家たちはまず、チモシーの干し草を生産するための草地を整備します。この作業は時間と労力を要し、草地を適切に管理するためには経験と知識が必要です。彼らは草地を定期的に刈り取り、風と太陽の恵みによって草を乾燥させます。干し草を乾燥させ、直方体にまとめたベールで保管するには、少なくとも5日間の好天が必要です。そのため、農家たちは天候の動向を常に注視し、作業計画を立てる際には祈りを捧げることもあります。

農家がこれほどまでに気を遣うのは、日本のバイヤーの要求が関係しています。そこには厳しいチモシーの格付け基準があり、等級(グレード)の違いは、価格に影響を与えるのです。等級は、干し草中のブルーグラスの存在、種子の頭の長さ、または茎の太さ、そして緑の濃さによって格付けされます。
農家や研究者たちは言います。多少の雨や多少の色褪せはチモシーの栄養価を低下させることはないと。
「馬も牛も。動物たちは(白くなった干し草を)気にしないよ」
ですが、小切手を書くのは馬ではなく馬主。
だからこそ、チモシー栽培者は緑を白くする雨を恐れます。乾燥時に雨が降りすぎると、チモシーの緑色が洗い流されてしまい、麦わら色になってしまうため、最高評価の「スーパープレミアムホース」には永遠に届かないのです。農家たちはこのようなリスクを理解し、天候の変化に対応するための努力を惜しむことはありません。
驚くことに、こうして作られるチモシーが、アメリカ国内に流通することはほとんどありません。ここ、エレンズバーグで作られる高品質なチモシーの9割は、日本をはじめとするアジア諸国に向けて生産されているのです。
農家たちはチモシーを育てる過程で、その生命力や美しさに感銘を受けます。彼らは草原の息吹を感じながら、丹精込めてチモシーを育て、最高品質の干し草を生産することに誇りを持っています。彼らの愛情と努力が、チモシーが日本の競走馬やうさぎたちに届くまでの旅を支えています。
旅立ちの準備
農家たちは、チモシーを日本に届けるための準備を進めています。その工程をご紹介します。
刈り取り
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乾燥仕上げ
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整形
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積み込み
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輸送
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防水処理
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販売準備
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パッキングと圧縮
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船出
刈り取り:
農家はまず、チモシーを刈り取り、風と太陽の下で干し、数日間自然に乾かします。この段階では、刈り取られたチモシーは草原に広がり、太陽の光と風にさらされます。農家たちは、天候を注視し、最適なタイミングでチモシーを刈り取ります。
乾燥仕上げ:
草原で乾燥したチモシーをフラッファーテダーという機械で掻き起こし、空気を含ませます。さらに数日間風にさらして乾燥させることで、より短時間で輸出要件である水分量12%の上限内に抑えていきます。
整形:
乾燥した干し草はスチーム処理を経て角形ベール(直方体の束)にします。乾燥した干し草を蒸気で処理することで、微生物やカビの繁殖を防ぎ、飼料の品質を向上させることができます。ベールは草原に並べられ、次の工程に進むために整列します。
積み込み:
農家たちは、ベールをトレーラーに積み込みます。この段階では、干し草が出荷の準備が整った状態でトレーラーに積み込まれます。農家たちは慎重に作業を行い、ベールを積み上げてトレーラーに載せます。
輸送:
この旅程でも、慎重さは忘れません。天候や道路の状況などの要因に注意しながら、干し草を目的地に運びます。トレーラーで運ばれた干し草は山積みにされます。
防水処理:
干し草が到着したら、防水シートを干し草に張ります。これは、湿気や雨から干し草を保護し、品質を維持するための重要な措置です。干し草は湿気や雨にさらされると品質が劣化し、カビや腐敗のリスクが高まります。乾燥した状態を保つために欠かせない処理です。
販売準備:
干し草は輸出業者に売られます。農家は自らの干し草を市場に出し、需要が高い輸出業者に販売します。農家たちは最高品質の干し草を提供し、輸出業者との取引を通じて収益を得ます。
パッキングと圧縮:
干し草は圧縮されるか、ラップでパックされます。この段階では、干し草がコンパクトになり、輸送効率が向上します。荷下ろしに向けて干し草を梱包し、最終的な出荷準備を整えます。
船出:
最後に、干し草はコンテナに積み込まれ、日本をはじめとするアジア各地に輸出されます。農家の努力と丹精込めた作業の成果が、アジアの酪農場や競走馬の飼料として利用される干し草として届けられるのです。

仕入れ、新しい冒険の始まり
日本の港に到着したチモシーは、検疫と燻蒸処理を無事に終え、輸入業者の倉庫に運ばれてきます。ここではパレットに何段にも角形ベールが積み上げられ、これを買いに来る顧客や取引先に出荷されていきます。
Nacori Lucori が倉庫に訪れました。そう、私たちの仕入れのときです。
私たちは、この仕入れによって、遠く船旅を終えたチモシーと初めて出会います。この瞬間はいつも喜びと感動の連続です。それは品質に驚くからだけではありません。この長い旅路に想いを馳せずにはいられないからです。

倉庫に積み上げられたベールを見ながら、いつものように挨拶を交わします。
「よかったらパレットも一緒に持っていくかい?」と顔馴染みのスタッフさんがおまけしてくれました。
お礼を伝えつつ、お迎えしたチモシーたちを眺めると、いつも胸が高鳴ります。
ここからチモシーたちは、日本の地で新しい冒険の旅に出ていくわけです。

アトリエへ運び込むと、その日のうちにチモシーたちの検品とふるいを行います。
まずはほぐしの作業から。ベールを丁寧に分割し、チモシーが壊れないように注意してほぐします。
ほぐしの作業は重要で、チモシーと共に日本へやってきた仲間たち(なこるこでは、チモシー以外の混入物のことを、チモシーと共に暮らしていた仲間という風に呼んでいます)を選別していきます。
ほぐしと選別の次は、ふるいの作業です。
チモシーたちは農場でベールにされ、輸出前に圧縮機でプレスされているので、多量の粉塵をまとっています。このまま室内へ持ち込むと、あっという間に壁や床は粉まみれ!空気清浄機があっても役目が追いつきません。
アレルギーが無くたって、これでは辛いでしょうし、アレルギー持ちの人にとっては健康を損なう危険な状況。なので、梱包作業に入る前に、まずはしっかりと粉塵をふるいます。
第一段階のほぐし、第二段階のふるいが終わったら、次は場所を変えて再度検品です。
ここでは検品と同時にチモシーの部分選別を行います。Nacori Lucori では、ピュアカット、ネイチャーブレンド、ベイビーショートという3種類の選別を行なっていて、それぞれに特徴が異なります。検品と選別用に作った特製の作業台で、チモシーたちをバランスよく袋詰めできるように集中して作業します。
第三段階の検品と選別を経て、袋詰めに入るのですが、このときもう一度ふるいにかけます。特製の作業台とふるいを使いながら、粉塵が混じらないように注意を払って袋に詰めていきます。
ちなみに、ベイビーショートはこの工程以外にも、特別な処理があるのですが…ここは秘密にしておきますね笑
こうして袋詰めされるまでの作業時間。
チモシーたちは優雅な音楽に包まれながら、整列しているんですよ。
(8割は大好きな冒険ゲームのオーケストラです♬)
そして食卓へ…
はるか彼方、海を超えたキティタス渓谷で生まれ育ったチモシーたち。
天候や船旅といった大冒険を経て、日本で新しい装備に身を包まれ、旅立ちのときを待っています。
袋詰めしたチモシーが、お客さまのもとへ届くまでのストーリー。いかがでしたか?
チモシーがどのように育まれ、どんな工程を経て私たちの元へ届くのか、その旅路を想像しながら辿ってもらえたらいいなと思いながら、その足跡をまとめてみました。
さて、ここから先の冒険ですが、これを確かめることができるのは、そう、牧草を手にするお客さまだけです。
その先にはどんな出会いが待っているのでしょうか。

Nacori Lucori から旅立つチモシーが、新しい旅先で感動のフィナーレを飾ってくれることを、心から願い続けています。
MAH+(まぁ)